【ジャニーズと日本社会・総集編①】1980年代編──第1回から第10回まで
4月27日に始めたこの連載も、15回を数えました。お盆でもあるので、ここでいったん振り返っておきます。まとめて読みたい方、途中から購読された方の道案内になれば幸いです。
各回がどこから始まり、どんな問いを立てたのか。そこまでにとどめます。詳しくは本編を読んでいただければと思います。
◆1〜2回:たのきんトリオから光GENJIへ
連載の出発点に置いたのは、TBSの金曜8時枠。1979年10月に始まった『3年B組金八先生』には、たのきんトリオの3人が出演していました。第1シリーズには、後に社長となる藤島ジュリー景子さんも生徒役で出ています。
この枠はその後、「桜中学シリーズ」として5作続きます。私はそれを再放送やリアルタイムで観ていた広島の小学生でした。ここで問うたのは、この学園ドラマ枠がジャニーズ事務所にとって何であったのか、ということです。
第2回は1987年。ローラースケートの7人組・光GENJIがデビューした年です。ただしこの時期、アイドル文化そのものは追い風のなかにはいませんでした。おニャン子クラブが解散し、バンドブームの到来していました。光GENJIの爆発的な人気が、どのように成立していたのかを考えています。
◆3〜5回:北公次『光GENJIへ』をめぐる3回
1988年11月、フォーリーブスの元メンバー・北公次さんによる暴露本『光GENJIへ』が出版されます。35万部のベストセラーとなりながら、新聞もテレビもこれを黙殺しました。
第3回では、この本が何を書いていたのかを丁寧に確認しています。1949年生まれの北さんが集団就職で家を出て、ジャニー喜多川にスカウトされて付き人となるまで。そして、そこで何が起きたのか。本人の記述をそのまま引きながらたどりました。この本を「告発本」ではなく「暴露本」と呼んだ理由が、ここにあります。
第4回は、ではなぜ黙殺されたのかを、複数の要因に腑分けしています。事務所への忖度だけでは説明がつきません。
第5回は、この本を世に出したのがどういう界隈だったのかという話です。AV監督とノンフィクションライター、そしてアングラ系の出版社。彼らだったからこそ暴かれ、彼らだったからこそ信用されなかった。メディアの分断が生じていた当時のパラドックスを扱っています。私自身が10代の頃から抱いていた「なんとなく嫌な感じ」の出どころについても書きました。
6〜7回:80年代のメディア環境
ここで視点をジャニーズそのものから離し、同事務所が急成長していた時代のメディア環境を2回にわたって見ています。
第6回の中心は、ジャンプ・ファミコン・フジテレビ。当時の小中学生男子にとっての3本柱です。発行部数が右肩上がりだった『週刊少年ジャンプ』、裏技情報が飛び交ったファミコン、『オールナイトフジ』から『オレたちひょうきん族』までのフジテレビ。この3つの共通性を取り出し、そこに光GENJIを置きました。
第7回はCDです。1987年、CDの生産額がついにレコードを上回ります。ところが同じ年、シングルの大ヒットはむしろ生まれにくくなっていました。1985年の流行語である「分衆」、歌謡曲からJ-POPへの移行、『ミュージックステーション』の誕生、そしてビデオデッキの普及。数字を並べながら、ジャニーズが絶頂の直後に長い低迷期へ入っていく背景を追っています。
8〜9回:『Mステ』とSMAP
第8回は音楽番組の話です。『ザ・ベストテン』は1989年9月に幕を閉じ、『歌のトップテン』も『夜のヒットスタジオ』も1990年に終わります。音楽番組が軒並み姿を消すなかで、『ミュージックステーション』だけが生き残りました。その番組が何に賭けたのか、そして後年まで尾を引くことになる代償について。私がこの番組を批判しなければならなかった経緯にも触れています。
第9回は、ジャニー喜多川の表現様式そのものを取り上げました。サテンの衣装、大きな身振り、サビの合唱。その源流には一貫して舞台があります。ではSMAPは、その「保守本流」とどういう関係にあったのか。飯島三智さんというプロデューサーの手腕とあわせて考えました。
10回:映画とジャニーズ
1980年代編の締めくくりは、それまで触れてこなかった映画です。1966年の『青春大統領』に初代ジャニーズがその名前のまま出ていたこと。ナベプロ傘下だった時代と、1975年の法人登記。郷ひろみさんの移籍。そして東宝の「たのきんスーパーヒットシリーズ」が斜陽の日本映画のなかで残した数字。
個人的にもっとも興味深いのは、田原俊彦さんを追った42分のドキュメンタリー『Love Forever』(1983年)です。原宿の「合宿所」が映り、晩年まで顔を出さなかったジャニー喜多川が、ここではしっかりと姿を見せています。またジャニーズが製作した映画の多くが、いまも配信されないままであることについても書きました。
後編は、2016年を描いた11~15回についての総集編です。
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