【ポピュラー文化の余白:2026-08-14】『ドロステのはてで僕ら』と未来の縛り、お盆に観る『氷菓』、芸能報道はまだ「戦前」なのか
今週のラインナップ
『週刊少年ジャンプ』100万部割れ──マンガではなく雑誌が縮んだ
『ザ・ラストハウス』──しっちゃかめっちゃかを突き通す
『ドロステのはてで僕ら』──未来に振り回される70分
『氷菓』──お盆にゆっくり観るアニメ
「櫻井翔・相葉雅紀以来5年ぶり」報道──5年前にSTARTOはなかった
◇『週刊少年ジャンプ』100万部割れ──マンガではなく雑誌が縮んだ
『週刊少年ジャンプ』の印刷証明付き発行部数が、2026年4〜6月に平均98万5000部となりました。2008年以来、初めての100万部割れです。100万部を超える国内の紙の雑誌はこれでゼロになったそうです。ピークは1994年12月の653万部だったので、30年で15%ほどに縮んだってことですね。
もちろんこの数字に驚くことはありません。これはマンガの縮小ではなく、紙の雑誌の縮小を示すもの。
CDの生産枚数が落ちても音楽が聴かれなくなったわけではなく、需要は配信とライブに移りました。テレビも視聴時間や広告費は減りましたが、映像そのものへの需要は配信に移っている。マンガも同じで、読む場所がスマホなどにかわっただけです。
実際、2025年のコミック市場は6925億円で、うち電子が7割超。一方で紙のコミック誌は392億円まで縮みました。集英社でも『SPY×FAMILY』や『ダンダダン』もアプリ『少年ジャンプ+』の出身。653万部に達した1994年は、読者となる若者も今よりはるかに多い時期でした。要は、雑誌がマス媒体としての役割を終えた、ということです。
集英社自体の業績はむしろ好調です。『鬼滅の刃』の製作委員会にはテレビ局を入れず、ソニーとがっつり組んでいる。自社のIPをどこまで運用できるか、というコンテンツメーカーとしての立ち位置がはっきりしています。出版部門は国内だけ見ればたしかに低落していますがデジタルは堅調で、今後は海外も含めて映像やアニメでも稼いでいく。音楽やテレビと違って、マンガはデジタルトランスフォーメーションにいち早く成功した領域です。それもあるから音楽やテレビ局のDX遅れについて、私はいろいろ言っているのですが。
それにしても、なぜ集英社がここまで上手くIPをコントロールできるようになったのか。これは過去に取材してわかったことですが、どうもハリウッド実写版『ドラゴンボール』(2009年)の失敗が大きかったようです。ご存じのとおりひどい出来で、鳥山明さんが公開時に原作とは別物だという趣旨のコメントを出すほどでした。
あれではいけないということで、小学館・集英社プロダクションがハリウッドに製作会社・VIZ Mediaを設立して、製作にしっかりと関与していく体制を作りました。その先に、桜坂洋の小説を映画化した『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年/トム・クルーズ主演)の成功がありました。IPをただ渡すのではなく、ちゃんと品質管理する。苦い失敗が今につながっているだと思います。
そういえば、この件についてはテレビ東京『ワールドビジネスサテライト』から取材を受けました。連絡をもらったのはちょうど新幹線の車中。下車はそれから数時間後だったので、メールで打ち合わせをして、オンライン取材を受ける段取りを走行中に全部組みました。到着駅のステーションワーク(ビジネスマン用の小さな個室。15分330円)を予約して、降りて10分後にはスマホでオンライン取材。なかなか今っぽい感じの仕事のやり方でした。
