【Article】映画はなぜ「続編ばかり」になったのか──ヒット作の三分の二が続編の現実
20年ぶりの続編が大ヒット
5月1日に全世界で同時公開された『プラダを着た悪魔2』が大ヒットを続けている。
この作品が注目されたのは、大ヒットした2006年の第1作から実に20年ぶりの続編だからだ。監督もメインキャストも揃ったこの続編は、懐かしさも含めて観客を呼び込んでいるところが大いにある。
だが、同時にこの大ヒットは現在の映画状況における別の側面も確実に示している。言わずもがな、世界の映画産業が続編に頼らざるを得ない状況になっていることだ。
華やかな大ヒットの裏で、映画界はむしろ慎重に、保守的になっている。
「レガシークエル」という言葉
英語圏では続編を指す新しい言葉まで生まれている。それが「レガシークエル(legacyquel)」だ。
これは「レガシー(遺産)」と「シークエル(続編)」を組み合わせた造語だ。直訳すれば「遺産の続編」といったところだ。過去のヒット作という遺産を使い回した続編が増え、それによるヒットが目立つ──そうした近年の保守的な傾向を揶揄する文脈で用いられる表現でもある。
今回の『プラダを着た悪魔2』はその典型例だ。そしてもうひとつ記憶に新しいのが、2022年に公開された『トップガン マーヴェリック』である。こちらは36年ぶりの続編であることが大きな話題となった。
日本でも昨年、Netflixで配信されて後に劇場公開もされた『新幹線大爆破』がある。1975年の映画から50年を経たリブート的な続編であり、これも意味としてはレガシークエルと呼べる作品だ。
これらに共通するのは、いずれも「過去にヒットした記憶」を出発点にしている点だ。まったく新しい題材で観客を呼ぶのではなく、すでに名前の知られた作品が誘引力となる。
10年代に続編が増える北米
では、そうした続編は実際にどれほど増えているのか。
1978年から昨年までの約48年分のヒット作について、アメリカと日本それぞれの年間興行収入上位作品を洗い出し、そのうち続編やリメイク、リブート、ドラマの劇場版などがどれくらいあるか調べた。
その傾向がはっきり出るのは北米である。年間ヒットの上位30作品を見ると、年々増えていることが明確にわかる。

筆者作成。
90年代までは、上位30作品のうち続編的な作品は10本弱で推移していた。それが2000年以降に徐々に増え、2010年代中期からは非常に増えていく。近年では年によっては20本以上に達し、上位作品の三分の二ほどが続編で占められている。
しかも、これは続編的な作品だけを数えたもので、ここからはマーベル・シネマティック・ユニバースやDCエクステンデッド・ユニバースのように、続編ではないが同じ世界観を共有するシリーズ作品は除いている(『アイアンマン2』などの続編は含めている)。よって、それらを含めれば、割合はさらに上がる。