【ジャニーズと日本社会:14】1月18日、ふたつの証言──鈴木おさむと藤島ジュリー景子の視点
二つの当事者証言
2016年当時、あの夜の内側を語る者はほとんどいませんでした。しかし後年、ふたつの重要な証言が出てきます。
ひとつは、放送作家の鈴木おさむさんが書いた小説『20160118』。小説の形式をとっていますが、実質的には当日の現場を鈴木さんの視点から描いた回想です。2022年12月に『文藝春秋』誌で発表され(ジャニーズ事務所が崩壊する前年)、2024年に出版された書籍『もう明日が待っている』(文藝春秋)に収録されています。
もうひとつは、藤島ジュリー景子さんが作家の早見和真さんからインタビューを受ける形式の『ラストインタビュー―藤島ジュリー景子との47時間―』(新潮社)です。昨年7月に刊行されました。
鈴木さんはあの公開謝罪の現場におり、それをきわめて不本意なものとして描いています。一方のジュリーさんは当日は現場にはいたものの、主導権はメリー喜多川副社長とジャニー喜多川社長にあり、自分は蚊帳の外だったという立場です。
こうした異なる立場のふたりの証言を突き合わせると、あの夜の状況がある程度立体化します。
前夜の稽古場
動きは、放送の前夜から始まっていました。以下は、藤島ジュリー氏の『ラストインタビュー』をもとにした事実関係です。
1月17日の23時ごろ、渋谷のジャニーズ事務所の稽古場に関係者が集められます。SMAPの5人、ジャニー喜多川氏、藤島ジュリー景子氏、取締役の白波瀬傑氏と小杉理宇造氏、そして事務所の社員数名。少し遅れて、メリー副社長も合流したとされています。
ジュリーさんによれば、ジャニー氏と顔を合わせたのは7、8年ぶりで、会議の雰囲気はお通夜のようだったといいます。事前にチーフマネージャーの飯島三智さんと5人で話し合ってSMAPの存続は決まっており、そのときに解散かどうかの話は出なかったとのこと。