【Column】「事実」では届かない──「真偽」から「信疑」へと動いた世界で
おしらせ
連載「ジャニーズと日本社会」は、13回からサポートメンバーのみが全文を読める状態として配信していきます。今後も章(約10記事で1章)の途中からサポートメンバーのみとすることになりますので、ぜひ登録していただければと思います。
また2008年に書いた「〈オタク〉問題の四半世紀」も、6000字強の補論を加えて完全版を公開しています。こちらもサポートメンバーのみの公開です。よろしくお願いします。
タイムラインの「ドンパチ」を眺めながら
私はもうSNSはあまり熱心に使っていません。Xにしても、自分の記事を告知する場と割り切っていて、あまり他人のタイムラインを追うことも、そこで意見を述べることも、意識的にしていません。理由は単純で時間の無駄だからです。
それでも、たまにXで「おすすめ」のタイムラインを眺めていると、そこでは相変わらず誰かが誰かと言い争い、意見をぶつけ合っています。そんな「ドンパチ」が続いています。
周知のとおり、SNSには誤情報や偽情報などが大量に流れています。誰もが発信者になれるということは、発信の訓練をしていない人が多くいるので、そうなってしまったわけです。
SNSで厄介なのは、そこにお金が絡んでくることです。Xは途中から投稿の収益化を進め、どれだけ注目(アテンション)を集めたかが、そのまま利益に直結する仕組みになりました。YouTubeも同じです。注目がお金になるこの構造を、SNSのアルゴリズムがひたすら加速させているのがいまの実情です。
「ジャニーズカルト」と、それを正す人たち
私のXのタイムライン(これはふだんの私の投稿や閲覧にもとづいてアルゴリズムが創るもんですが)でしばしば見かけるのは、「ジャニーズカルト」と戦っている人たちです。「ジャニーズカルト」とは、旧ジャニーズ事務所が何らかの陰謀によって潰されたとか、あるいはジャニー喜多川による性加害はなかったと主張しているごく一部の人たちのことです。そうした人たちに対して、「それは事実ではない」と正面から反論をぶつけている人たちもいるわけです。
これはジャニーズに限った話ではありません。誤情報を流す人がいて、それを正そうとする人がいる。両者は激しく対立していますが、その中身は「議論」ではなく、事実関係の誤りを正すという一方向の作業です。
このとき、私はいつもふたつのことを同時に考えます。