【ポピュラー文化の余白:2026-09-25】藤子・F・不二雄『老年期の終り』、NHK『未解決事件』DNA型鑑定の闇、Netflix「日本の暗部」シリーズの問題

藤子・F・不二雄「老年期の終り」に50年前の予測を読み、NHK『未解決事件』にDNA型鑑定の闇を見て、日本のNetflixと韓国ドラマの差を考える──週に一度、ポピュラー文化の余白を覗く短評集です。
松谷創一郎 2026.09.25
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  • 今週のラインナップ

  • 藤子・F・不二雄『老年期の終り』──50年前に見えていたこと

  • AirPodsが届きましたぞ!──ノイズキャンセリングと耳鳴り

  • 20年ぶりのパワプロ──『パワフルプロ野球2026-2027』

  • NHK『未解決事件』北関東連続幼女誘拐・殺人事件──DNA型鑑定の闇

  • 『ダウンタイム』と日本のNetflix──題材の表層で止まる

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◇藤子・F・不二雄『老年期の終り』──50年前に見えていたこと

 藤子・F・不二雄のSF短編は小さい頃からものすごく好きで、自分に強く影響を与えてきた作品群です。先々週くらいまで、小学館の「ドラえもんチャンネル」で、藤子・F・不二雄の短編「老年期の終り」が無料公開されていました。『少年SF短編』2巻に収録されています。

 ただ、小学生か中学生のころにこの作品をはじめて読んだとき、正直ピンときませんでした。何が言いたいのかわからなかったのです。

 舞台は、地球から5000光年離れたラグラングという星です。住民のほとんどはすでに引き上げ、明日には最終便が出るという状況。そこへ6000年前に地球から打ち上げられたロケットが漂着し、人工冬眠していた少年が目を覚まします。人類という種が老年期に入ってしまった世界で、若者は別の世界へ旅立っていく。初出は1978年です。タイトルは、アーサー・C・クラークの『幼年期の終り』をもじったものですが、内容に関連性はありません。

 いま読むと老年期に入ったその人類が、現在の日本を思わせます。私も50代になって年を取ってきたわけですが、この作品が描いているのは社会全体が老いていく話です。

 現在の日本社会自体が老いていることは、ポピュラー文化の傾向からもうかがえます。音楽は流行がずっと動かず、新しいものに向かわない。映画の『国宝』がヒットするのも、客層の中心は50代以上でした。ヒットするのはいいのですが、若者文化への抑圧になっているところもあるのでしょう。

 その社会に引っ張られずに、若者たちが別の世界へ旅立つ。日本と重なるところが多くて、少し悲しくなりました。

 藤子・F・不二雄が未来の社会について書いたものとして、ここで思い出す作品がもうひとつあります。1973年に発表された「定年退食」です。食糧が不足した近未来で、73歳以上は定員カードの効力を失い、年金も食糧も医療も、国家による保障が打ち切られる。主人公は74歳で、「二次定年特別延長」の抽選に外れてしまう、という話です。

 1973年というタイミングがポイントです。その前年に、ローマクラブという民間組織が『成長の限界』という本を出しています。人口、工業化、汚染、食糧といった要素から、このままでは成長が100年以内に限界に達すると論じた本で、世界的なベストセラーになりました。藤子・F・不二雄はおそらくこれを読んだはずです。「定年退食」の元ネタは『成長の限界』だと私は考えています。

 『成長の限界』の翌1973年には、五島勉『ノストラダムスの大予言』が日本でベストセラーになります。世紀末的な思想が出てきた時期。そこでオカルトに行かず、藤子FさんはSFというかたちで作品を創りました。インテリですよね。『成長の限界』は50年以上前の本なので、古本屋で安く手に入るでしょう。いま読むと思うところがあるはずです。

 この年齢になると、いろいろ考えます。日本社会はこれからますます老いていきます。社会保障がもつ見込みはありません。生産人口が減り続け、高齢者が増え続けるのですから、経済的に停滞するのは避けられません。

 しかし、これは全部予想されていたことです。人口減については、1970年代後半の時点ですでに予想できていました。それを政府も国民も等閑視してきたツケが、今後どっと押し寄せます。

◇AirPodsが届きましたぞ!──ノイズキャンセリングと耳鳴り

 月曜日に配信した「日常生活の余白」で少し書きましたが、AirPods5を買いました。新しいやつです。その後に届きました。

 買った理由は、iPhone 17にしたタイミングでライトニングケーブルのイヤホンが使えなくなり、オンライン会議や電話取材のときにAirPodsだと音声がきれいだからです。コロナ禍のときにテレビ番組とかで音声がクリアなひとって、たいていiPhoneでしたよね。

 AirPidsではノイズキャンセリング機能がどんな感じなのかという楽しみもありました。そこで家の外を歩いてみたのですが、なるほどこれはおもしろい。音が完全にゼロになるわけではないのですが、大きな通りでも音がすごく減っていく。すっごい変な感覚。こういう感覚はなかなかないなと思って、周囲を見渡してしまいました。

 ただ、危ないは危ないんですよね。街中を歩くときに使うべき機能ではないな、と思いました。電車で座っているときや、長く新幹線に乗るときにはあるといいですよね。

 また私は実はずっと耳鳴りがしています。キーンという音がずっと続いていて、静かな場所だと気になる感じです。7年ほど前に一度、聴力検査をしたのですが、耳は悪くないという結果でした。

 ではノイズキャンセリングを使うとどうなるのか。これが、やっぱり耳鳴りはするんですよね。つまり耳の奥のほうで鳴っているので、外の音を消す機能では意味がないわけです。そりゃそうだ。なんにせよ外音が原因ではないことがわかりました。

 機能はおもしろいのですが、AirPodsは耳の穴に入れるインナータイプで、そこはあまり好きではありません。ふだんアンカーのクリップ型を使っているのは、耳の穴を塞がなくていいからです。

 ただ、静かななかで寝るのは意外とよさそうだなとも思いました。寝ているあいだに外れそうですけどね。

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