【Article】『地獄に堕ちるわよ』の現実と『おしん』の夢──日本ドラマは世界のNetflixでどれほどヒットしているのか

NHKがNetflixへの番組提供を再開し、「『おしん』のように世界で通用する」と会長が語った。だが『地獄に堕ちるわよ』のデータが示す日本実写ドラマの現実は、その期待とは大きく異なる。
松谷創一郎 2026.05.22
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『おしん』の夢は再現できるか?

 5月20日、NHKはNetflixへの番組提供を6月22日から再開すると発表した。以前も配信されていたが、Netflixの広告付きプランでNHK作品にもCMが流れることが判明し、2023年10月に配信が停止されていた。今回はすべてのプランでNHK番組にCMが表示されないかたちが確保される予定だ。

 2026年度中に過去の人気ドラマ計19作品を世界190以上の国と地域で配信する予定で、6月22日の第一弾には大河ドラマ『軍師官兵衛』や連続テレビ小説『まんぷく』など6作品が並んでいる。

 定例会見で井上樹彦会長は、「『おしん』のように、NHKのコンテンツは間違いなく世界で通用すると考えている」と意気込みを語っている(朝日新聞 2026年5月20日)。

 果たして、この『おしん』の夢は再現できるのか。ちょうどNHKの発表と同じくして進行しているのは、日本のNetflixオリジナルドラマ『地獄に堕ちるわよ』への世界的注目だ。細木数子を描いたこのドラマの人気を確認すると、その期待は慎重に受けとめる必要があることが見えてくる。

『地獄に堕ちるわよ』の世界成績

 『地獄に堕ちるわよ』は2026年4月27日に配信が開始され、日本国内では3週連続の首位を続けている。2021年に亡くなった占い師・細木数子を描いた作品として、国内では大きな話題を呼んでいる。

 Netflixが公表する各国の週間ランキング(TV番組・ドラマ)データを確認すると、海外での成績は以下のとおりだ。

  • 香港:2位→2位→3位

  • 台湾:2位→3位→4位

  • 韓国:6位→6位→8位

  • タイ:8位→4位→圏外

  • シンガポール:7位→9位→圏外

  • ベトナム:圏外→10位→圏外

  • ルーマニア:7位→圏外→圏外

 非英語作品のグローバルランキングでも4位→4位→10位と3週連続でトップ10圏内に入っており、日本のドラマとしてはじゅうぶん健闘した部類に入る。

 しかしそのヒットはほぼ東アジア・東南アジアに集中していることがわかる。欧州ではルーマニアで1週のみ、北中米や南米、中東・アフリカでのランクインは確認できない。

2021年以降の日本実写作品のなかでの位置づけ

 より大きなコンテクストに位置づけると、この成績は見方が変わってくる。2021〜2025年のNetflixグローバルランキングデータをもとに算出した、日本を除く海外でのポイントを見ると、『地獄に堕ちるわよ』は現時点で日本のTV番組・ドラマ作品(アニメを除く)で13位に位置する。現状では、昨年末に配信されたリアリティ番組『ラヴ上等』(2025年)にも届いていない。

筆者作成。

筆者作成。

 日本国内では爆発的なヒットとなった『地面師たち』も、グローバルのランキングでは上位に食い込んでいない。実写コンテンツにおいては、国内での人気と海外での評価の間には乖離がある。

 では、日本の実写ドラマで海外実績が高い作品はどれか。2021年以降に限ると、それは以下の4作品に絞られる。

  • 『今際の国のアリス』

  • 『幽☆遊☆白書』(実写版)

  • 『イクサガミ』

  • 『忍びの家 House of Ninjas』

 注目すべきは、この4作品がすべてアクション系の作品であることだ。死のゲームが展開されるサバイバルスリラー、格闘技ベースの伝奇もの、剣客の復讐譚、忍者アクション——いずれも激しいアクションを描いている。

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