【Column】「文化に政治を混ぜるな」議論の論点──日本のポピュラー文化に欠けていること
学級会のような議論
先週のことですが、フジロックでのHi-STANDARDのMCがSNSで議論になっていたようです。「右だ左だ、ロックンロールの前では無力だぜ」という趣旨の発言。同じフジロックで、イギリスのMassive Attackが政治的なステージを見せたこともあって、ポピュラー音楽に政治的メッセージを入れるか入れないか、と議論になっていたみたいです。
こういう議論、SNSではたびたび起こるんですが、まぁ見ていて非常に学級会っぽいと感じます。「入れるな」って言う人たちは、おそらく「音楽を純粋に楽しみたいのに、そこに政治を持ち込まれると楽しめなくなるから嫌だ」みたいな、素朴な感情を発露しているのでしょう。
そして、それに対して音楽をよく知る中高年のロックおじさんがガチギレするという構図です。正直、それも大人げないと思って見ています。もっと優しく諭してあげればいいのに。
──と思うのは、自分も過去に大学で非常勤講師をしているときにそういう局面に出くわしたことがあるからです。
8年前の授業で
8年前、実際に学生からそういうことを言われたことがあります。BTSが原爆Tシャツで問題となっていたときです。その半年前にRADWIMPSが「HINOMARU」って曲で問題となったこともあり、政治とポピュラー音楽の関係について当時非常勤で教えていた大学の授業で扱いました。そのときに授業後のコメントでそういう意見を寄せてきた学生が複数名いました(毎回200人以上が受講する大人数の講義です)。
なので、彼らの感覚はなんとなくわかります。現実逃避でただ楽しみたいのにそこに現実を入れてきたら嫌だ、みたいな素朴な感情。もちろんそういう若者の政治意識はもともと高くないです。あとRADWIMPSの野田洋次郎さんが批判されて結局謝罪したことなどもあり、それで「左翼にムカつく!」みたいな学生もひとりいました。