【ポピュラー文化の余白:2026-08-21】映画『リライト』と尾道、映画『バックルームズ』の悪夢、『みいちゃんと山田さん』アニメ化の覚悟
◆今週のラインナップ
映画『リライト』──青春の取り返しのつかなさ
『ラヴ上等』シーズン2──ヤンキーではなくギャル
映画『バックルームズ』──悪夢の感覚
『みいちゃんと山田さん』アニメ化──かわいい絵柄と、露悪的なリアル
小学館『マンガワン』問題──報告書と再発防止策
◇映画『リライト』──青春の取り返しのつかなさ
先週、先々週、『リバー、流れないでよ』と『ドロステのはてで僕ら』と続けて上田誠脚本の作品を観てきたので、昨年公開の映画『リライト』も観ました。こちらはそれらよりも規模が大きい映画です。監督は松居大悟で、上田さんは脚本。上田さんの15年来の後輩にあたる松居さんが、「やるなら上田さんと」ではなく上田さん側から作品を持ち込まれたそうです。
原作は法条遥の同名小説(ハヤカワ文庫)。私は未読ですが、基本の仕掛けは同じにしたまま、相当に改変して映画にしているっぽいです。その目的も、たぶん2時間に収めるためだけでもなさそうです。
これもタイムリープものです。高校3年の夏、美雪(池田エライザ)のクラスに保彦(阿達慶)が転校してきます。彼はある小説に憧れて300年後から来たという未来人です。
舞台は広島・尾道で、大林宣彦監督の尾道三部作に出ていた尾美としのりや石田ひかりが配されています。『時をかける少女』を明確に意識してタイムリープ映画にする、という姿勢です。
話は、未来人の少年がやって来て主人公の女子高校生が翻弄されるだけでなく、周囲もまとめて巻き込まれていきます。この未来人、かなりえげつないことをしているなと思ったりもするのですが、オチがわかると納得します。青春映画として、青春の取り返しのつかなさも描かれています。それが本領のひとつであるわけで、そこがちゃんと出ているので面白かった。ある種残酷なんですよね。
ただ、原作とは相当違っているようで、ここまで原作を改変するのは、脚本に相当な自信がないとできません。尾道の風情もよく出ていて、そういう点も含めてよかった。
構造は一度観ればすっきり理解できるようになっていると思いますが、そうでない人もいるかもしれません。Netflixで配信されているので何度でも観られますし、いまの時代の考察向きの作品でもあるのでしょう。このややこしさ自体が時代に合っているのだろうと思います。
ただ、最後まで観ると、これは胸糞悪い話だよねとも思ってしまう。上田さんが綺麗なだけではないところで、タイムリープの悲しさや辛さもちゃんと入っている。何度観てもいい作品だと思います。
あと、この作品が大林作品をよくわかってるな、と思わせるのは男性キャストが影が薄いことなんです。女性主人公を目立たせるために、あまり目立たないタイプの男性をキャスティングしているのかな、と。未来人役の男の子もSTARTOジュニアらしいんだけど、存在感が薄い。
そしてなにより、ときおり出てくる主人公の夫(篠原篤)。彼がすごく甲斐甲斐しいんですよね。幾度か本筋とは異なるところで出てくるのだけど、彼の存在が後半じわじわと効いてきます。彼は現実の重みなんですよね。