【ジャニーズと日本社会:23】野球帽とサングラス──ジャニー喜多川の「御真影」
ジャニー喜多川の顔写真は、ジャニーズ事務所が始まったかなり早い段階からほとんど表に出なくなりました。雑誌や新聞でインタビューを受けることはときどきあり、ラジオ番組に一度だけ出たこともあります。それでも顔は出さなかったのです。
なぜか──。
まず、亡くなった2019年のことから振り返ります。
23時30分の一斉速報
2019年7月9日、ジャニー喜多川は亡くなりました。享年87。6月18日に緊急搬送されて入院しており、ジャニーズ事務所によれば亡くなったのは16時47分とされています。
しかし、それが報じられたのは23時30分でした。約7時間空いています。
この夜のテレビ報道については、NHK放送文化研究所の東山浩太さんと宮下牧恵さんが詳しく調べています(「故ジャニー喜多川氏の死去直後の追悼報道について」:『放送研究と調査』2025年5月号)。それによれば、23時30分とほぼ同時に全局が速報のスーパーを流しました。これはいわゆる「情報解禁」がこの時間だったのです。
実際、私自身もその30分ほど前にある媒体から連絡を受けて、この「情報解禁」時間を知っていました。
そのため、すでに放送を終えていたNHK『ニュースウオッチ9』とテレビ朝日『報道ステーション』は、その日の夜に訃報を伝えていません(『報ステ』には、タイミング的に情報は届いていたと考えられます)。当日中に伝えたのは、日本テレビ『news zero』、TBS『news23』、テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』、フジテレビ『FNN Live News α』の4番組でした。
まず、なぜ23時30分だったのか。当日の番組表を見ると、それ以前の時間帯にジャニーズ事務所のタレントが出演する番組が並んでいます。
NHK総合『うたコン』19:57〜20:42:Kis-My-Ft2
日本テレビ『火曜サプライズSP』19:00〜20:54:増田貴久(NEWS)
日本テレビ『ザ!世界仰天ニュース』21:00〜22:54:中居正広
テレビ朝日『そんなコト考えた事なかったクイズ!トリニクって何の肉!? 3時間スペシャル』19:00〜21:48:東山紀之(少年隊)、高木雄也(Hey! Say! JUMP)、佐久間大介(Snow Man)
ここから推察できるのは、所属タレントの出演番組が終わるまで、事務所が訃報を止めていたことです。訃報にまで解禁時間が設けられ、報道番組もそれに従ったわけです。
野球帽とサングラス
その夜、各局が使ったジャニー喜多川の写真はほとんどが同じものでした。野球帽を目深にかぶり、サングラスをかけた1枚です。

“Guinness World Records 2012”(2011年)より。
これは、彼が2011年にジャニー喜多川がギネス世界記録に認定されたときに公開された写真と同じものです。記録は、1974年から2010年までに232曲の1位をプロデュースしたことと、2000年から2010年までに8419公演を手がけたことでした。
公式の写真もこれだけでした。
亡くなった2か月後の2019年9月4日には、東京ドームで「お別れの会」が開かれました。誰でも入れたので私も行ったのですが、壇上に掲げられていたのもこの写真でした。